日本語教育の領域において、外国人児童生徒に対する日本語教育の重要性は広く認識されるようになってきた。外国人住民の増加に伴い、学校教育現場にも多様な言語背景、文化背景をもった子どもたちが増加している。課題も多く存在する中、様々な取り組みがなされ、それらが目に見える形となりつつあることで年少者に対する日本語教育の認知度も上がっているといえるだろう。
国においては、外国人児童生徒の教育を支援するため、これまで次のような取り組みを実施している。
ア 外国人児童生徒等を受け入れる学校における日本語指導の充実を図るため、日本語指導を行う教員の加配措置を実施している。
イ 独立行政法人教員研修センター(NCTD)において、外国人児童生徒の指導にあたる教員や校長、教頭等の管理職等を対象に、外国人児童生徒の日本語指導や外国人児童生徒を受け入れた場合の学校運営等に関する「外国人児童生徒等に対する日本語指導指導者養成研修」を実施している。
ウ 「ようこそ日本の学校へ」、「にほんごをまなぼう1~3」などの教材や教員用指導資料を発行するとともに、教科指導等を通じながら外国人児童生徒の学習言語能力の育成を目指す「JSLカリキュラム」小学校編及び中学校編を開発し、ワークショップを開催するなどしてその普及を図っている。
エ 外国人の就学支援や拠点校を中心とした外国人児童生徒等の学校での受入体制の在り方について調査研究を行う「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」を実施している。平成20年度からは、都道府県や市町村における先進的な取組を踏まえつつ、学校入学前の外国人の子どものための初期指導教室(プレクラス)の実施や外国語の分かる地域人材を支援員として学校に配置する事業を新たに実施している。
現在、上述のような取組が行われているが、日本語指導が必要な外国人児童生徒数が増加傾向にある中、外国人児童生徒の適応指導や日本語指導にあたっては、引き続き、次のような課題がある。
ア 初期の適応・日本語指導から学習言語能力の育成のための指導までの指導内容や指導方法の改善・充実
イ 学校における外国人児童生徒の指導体制の構築
ウ 外国人児童生徒の指導にあたる教員や指導支援員等の養成・確保